夜勤勤務者の多くが、「目の疲れ」や「目の不快感」を感じているのではないでしょうか。
実は、ドライアイは単なる目の乾燥ではなく、患者さんの多くが「目の疲れ」「目の不快感」を訴える現代病なのです。
夜勤勤務者は、エアコンの効いた乾燥した環境でパソコンやモニターを長時間見続けることが多く、まばたきの回数が減ることで、目を保護する涙の層が不安定になりがちです。
さらに、夜間はもともと涙の分泌量が減少するため、夜勤帯はドライアイリスクが高まる条件が揃っています。
本記事では、夜勤勤務者が自分でできるドライアイチェックから、悪化サインの見分け方、受診の目安までを詳しく解説します。
目の不調を感じているなら、まずは現状を把握することから始めましょう。
1. 自分でできるドライアイ簡易チェック


夜勤勤務者が自分の目状態を把握するためには、客観的なチェック方法を知ることが第一歩です。
ドライアイは気づかないうちに進行していることが多く、自覚症状だけでは正確な状態を判断できません。
ここでは、勤務前後に簡単に実施できるセルフチェック方法を紹介します。
これらのテストは、眼科医が実際に診断で使用する方法を簡易化したもので、信頼性の高い指標となります。
夜勤の仕事を始める前と終わった後の両方で試してみると、勤務時間中の目の状態の変化が明確にわかるでしょう。
①10秒間まばたきテストの実施方法
もっとも基本的なドライアイのセルフチェックが「10秒間まばたきテスト」です。
このテストは、目の表面を覆う涙の層がどのくらい安定しているかを評価するもので、10秒間まばたきせずに目を開けていられない場合は、ドライアイの可能性が高いとされています。
実施方法は簡単で、まずストップウォッチを準備し、まばたきを我慢しながら目を開け続けます。
このとき、目を大きく見開きすぎないことが重要で、自然な状態で開けるようにしましょう。
テスト中にまばたきをしてしまった時点で時間を計測し、10秒未満でまばたきが必要だった場合は、目の表面の涙が早く蒸発している証拠です。
夜勤明けの疲れた状態でこのテストを行うと、より明確な結果が得られるでしょう。
②総合症状チェックリストでの評価
ドライアイの症状は目の乾燥感だけではありません。
実際に、ドライアイ患者の多くは「目の疲れ」「目の不快感」を訴えるため、多角的な症状評価が必要です。
以下のような症状があるか、自分に当てはまるものをチェックしてみてください:
- 目が疲れやすい(長時間の勤務で目の疲労が蓄積しやすい)
- 目がショボショボする(まぶたが重く感じられる)
- 目が重たい感じがする(目を開けているのが辛い)
- 目がゴロゴロする(異物感がある)
- 目に不快感がある(なんとなく目が気になる)
- ものがかすんで見える(視界がぼやける)
- 光がまぶしく感じやすい(照明やヘッドライトが眩しい)
- 何もしていないのに涙が出る(涙のバランスが崩れている)
- 目が痛む(目の表面に傷がある可能性)
- 目が赤くなりやすい(充血がち)
- 白っぽい目やにが出る(目の炎症のサイン)
これらの症状は、夜勤中の集中時には気づかず、勤務が終わってホッとした瞬間に自覚することが多いようです。
チェックが5つ以上当てはまる場合や、10秒間まばたきテストと合わせて陽性だった場合は、ドライアイの可能性が高まります。
③まばたき回数の確認方法
意外と知られていませんが、まばたきの回数と質もドライアイの重要な指標になります。
正常なまばたき回数は1分間に約20回と言われていますが、パソコンやモニターを集中して見つめているときは、まばたき回数が4分の1にまで減少することが知られています。
自分でまばたき回数を数えるのは難しいため、家族や同僚に協力してもらい、30秒間のまばたき回数を数えてもらいましょう。
このとき、意識してまばたきをしたり、ジッと観察したりしないで、自然にぼんやりと景色などを眺めている状態で測定することがポイントです。
まばたき回数が明らかに少ない場合、またはまばたきが浅い場合(完全に目を閉じていない場合)、目の表面全体に涙が行き渡らず、ドライアイを悪化させる原因となります。
2. 悪化サインの見逃し防止ポイント(痛み・視力変化など)


ドライアイを軽く考えて放置すると、思わぬ形で症状が悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。
特に夜勤勤務者は、昼間勤務の人よりも症状の変化に気づきにくく、重症化しやすい傾向があります。
ここでは、見逃しがちな悪化サインについて詳しく解説します。
ドライアイが進行すると、単なる目の不快感から、角膜や結膜の損傷へと進展する可能性があるからです。
目の症状は我慢したり慣れたりしてしまいがちですが、以下のサインを見逃さないことが、重症化を防ぐカギとなります。
①痛みから読み取る悪化サイン
初期のドライアイでは「目の疲れ」や「重たい感じ」として自覚される症状も、悪化するにつれて「ヒリヒリする痛み」や「ゴロゴロした異物感」に変化していきます。
さらに症状が進むと、痛みで目が開けていられないほどになることもあります。
このような痛みは、目の表面を保護している涙の層が不安定になり、角膜が直接空気に触れて傷ついている証拠です。
夜勤中はエアコンの風が直接当たる環境も多く、知らないうちに目の表面が傷つきやすい条件が揃っています。
また、朝方に目の痛みで目が覚めるようなら、それは涙の分泌量が著しく減少しているサインかもしれません。
夜間はもともと涙の分泌量が減少するため、夜勤勤務者はこの影響をより強く受けるのです。
②視力変化の兆候を見極める
ドライアイが進行すると、視力自体は変わっていないのに「ものがかすんで見える」「なんとなく見えづらい」といった症状が現れます。
これは、目の表面を覆う涙の層が均一ではなくなるためで、ドライアイによる実用視力の低下が起きている状態です。
実用視力とは、視力検査で測定する静止視力とは異なり、日常生活の中で実際に感じる見え方の質を指します。
夜勤明けの帰宅途中で、信号や看板の文字がかすんで見えると感じたことはありませんか。
それは疲れのせいではなく、ドライアイによる視力低下の可能性があります。
このような症状を放置すると、運転中の判断ミスや仕事の効率低下にもつながりかねません。
特に薄暗い場所での見えづらさは、ドライアイが影響していることが多いようです。
③全身症状への波及に注意
ドライアイの症状が悪化すると、目以外の部位にも症状が現れることがあります。
具体的には、頭痛や肩こり、全身の疲労感などです。
一見、目とは無関係に思えるこれらの症状ですが、ドライアイによって目に異常をきたすと、無理に見ようとするために不自然な姿勢をとり続け、それが肩こりにつながります。
また、目の不快感や痛みがストレスとなり、片頭痛や緊張性頭痛を引き起こすこともあります。
夜勤勤務者はもともと自律神経が乱れやすく、これらの全身症状が出やすい環境にあると言えるでしょう。
さらに、ドライアイによる不調はQOL(生活の質)を低下させ、精神的な負担につながることで自律神経の乱れを悪化させる悪循環に陥ることもあります。
目の症状だけでなく、これらの全身症状にも注意を払うことが重要です。
3. セルフケアでは改善しない場合のサイン:眼科受診を検討すべき症状


セルフケアを続けていても症状が改善しない場合、それはドライアイが単なる疲れ目ではなく、医療機関での治療が必要な状態に進行しているサインかもしれません。
ここでは、眼科受診を検討すべき具体的なサインについて詳しく説明します。
一般に、セルフチェックで5つ以上該当する項目がある場合や、10秒間まばたきテストで異常がある場合は、ドライアイの可能性が高いため受診が推奨されます。
しかし、これらの数値的な基準だけでなく、実際の生活に支障をきたしているかどうかも重要な判断基準となります。
夜勤勤務者の場合は、症状の変動に注意しながら、適切なタイミングで受診することをおすすめします。
①日常生活への影響度評価
ドライアイの症状が、仕事や日常生活に支障をきたし始めたら、それは受診の明確なサインです。
具体的には、夜勤中のパソコン作業がつらい、車の運転中に視界がかすむ、光がまぶしくて夜間の勤務が困難などの症状があれば、専門医の診断が必要です。
看護師としての業務においても、「電子カルテ使用後に視力低下や疲れ目などの症状を自覚した」という人が38%に上ったという調査結果もあります。
このような状況を放置すると、業務の質が低下するだけでなく、医療ミスや事故につながるリスクもあります。
また、朝目覚めた時に目が開けにくい、目の痛みで睡眠が妨げられるなどの症状も、日常生活への影響が大きいため、早めの受診が推奨されます。
目の不調のためにこれまで楽しんでいた趣味や活動を控えるようになったら、それはQOL(生活の質)が低下している証拠です。
②セルフケアの効果がない場合の判断
市販の目薬を使用したり、休憩を取ったりするなどのセルフケアを1〜2週間続けても症状が改善しない場合は、ドライアイが重症化しているか、他の病気が隠れている可能性があります。
この場合、自己流のケアを続けるよりも、眼科で適切な診断を受けることが重要です。
眼科医は、シルマー試験(涙の分泌量を調べる)、BUT試験(涙の層の安定性を調べる)、細隙灯顕微鏡検査(目の表面の傷を調べる)などの専門的な検査で、ドライアイの程度やタイプを正確に診断できます。
例えば、涙の分泌量を調べるシルマー試験では、5分間で濾紙が濡れる長さが5mm以下の場合、ドライアイが疑われます。
このような専門的検査は自宅では不可能なため、症状が改善しない場合は早めに専門家の診断を受けるべきでしょう。
③重篤な疾患の可能性を疑うサイン
ドライアイだと思っていた症状が、実は別の重篤な疾患のサインである可能性もあります。
例えば、口の渇きを伴うドライアイは、シェーグレン症候群という自己免疫疾患の可能性があります。
この病気は、免疫システムが自分の涙腺や唾液腺を攻撃することで、目や口の乾燥が起こるものです。
また、目のかすみや疲れが、緑内障などの眼疾患や貧血、更年期障害などの全身疾患の症状として現れていることもあります。
この場合、原因となっている疾患の治療が必要です。
さらに、休憩や睡眠をとっても改善しない「眼精疲労」の状態であれば、単なる疲れ目ではなく、医療機関での治療が必要な状態に進行している可能性があります。
このような症状がある場合は、速やかに眼科を受診し、適切な診断と治療を受けることが不可欠です。
おわりに
夜勤ドライアイは、単なる目の乾燥ではなく、目の疲れや不快感、さらには頭痛や肩こりなどの全身症状をも引き起こす現代病です。
10秒間まばたきテストや症状チェックリストで早期発見し、悪化サインを見逃さないことが重要です。
セルフケアで改善しない場合や日常生活に支障をきたす場合は、迷わず眼科を受診しましょう。
夜勤勤務という環境を変えることは難しくても、目の健康を守るための適切な対処法はあります。
あなたの目が、夜勤という過酷な環境でも健やかでいられるように、今日からできる対策を始めてみませんか。







