夜勤は私たちの生活を支える重要な仕事である一方で、体内時計の乱れから不眠に悩む方が少なくありません。
夜勤のたびに寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりして、「また眠れないかもしれない」という不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、ご安心ください。夜勤による不眠症は、適切な習慣を身につけることで予防・改善が可能です。
本記事では、夜勤前に実践したい具体的な不眠症予防の習慣をご紹介します。
これらを実践することで、不眠の苦しみから解放され、心身ともに健康な夜勤ライフを送れるようになるでしょう。
1. 夜勤前日は1~2時間長めに睡眠を取る


夜勤に向けて最も重要な準備の一つは、睡眠時間の調整です。
夜勤前日にいつも通りの睡眠時間では、日中の活動時間と夜間の勤務時間が逆転することで生じる時差ボケのような状態に対応しきれません。
この睡眠不足の状態が蓄積されると、夜勤中の集中力低下や判断ミスにつながるだけでなく、不眠症のリスクを高めてしまいます。
そこで推奨されるのが、夜勤前日に普段よりも1~2時間長めに睡眠を取るという習慣です。
例えば、普段7時間寝ている方であれば、8~9時間の睡眠を目指します。この少し長めの睡眠は、来る夜勤に備えて睡眠負債を前もって解消し、心身に余裕をもたらす効果があります。
十分な睡眠は、日中の活動で消耗した脳や体の回復を促し、夜勤中に必要とされる覚醒状態を維持するためのエネルギーを蓄える役割を果たすのです。
また、事前に睡眠を確保しておくことで、夜勤による睡眠サイクルのずれを最小限に抑え、夜勤明けの回復もスムーズになります。
ただし、過剰な寝だめは逆効果になる可能性もあります。あまりに長く寝すぎると、かえって体がだるくなったり、夜間の眠りが浅くなったりすることがあります。
そのため、あくまで「普段より少し長めに」という感覚で調整することが重要です。自身の体調や夜勤のスケジュールに合わせて、最適な睡眠時間を見つけるようにしましょう。
2. カフェインや脂っこい食事を避ける


夜勤に備える上で、摂取する飲食物にも注意が必要です。
特にカフェインと脂っこい食事は、夜勤中のパフォーマンスや睡眠の質に悪影響を及ぼす可能性があるため、夜勤前の摂取は避けるべき習慣と言えます。
①カフェインの影響
夜勤中に眠気覚ましとしてカフェインを摂取する方は多いかもしれません。しかし、夜勤前にカフェインを摂取すると、寝つきが悪くなる原因となります。
カフェインは覚醒作用を持つため、摂取後数時間はその効果が持続します。
夜勤開始前にカフェインを摂取してしまうと、自宅に戻って休もうとする際に、カフェインの覚醒作用が残っており、なかなか寝付けないという事態に陥りやすくなります。
さらに、夜勤中に眠気を感じた際にカフェインを摂りすぎると、睡眠リズムが大きく乱れ、慢性的な不眠症につながる可能性もあります。
そのため、夜勤前や夜勤中にカフェインを摂取する際は、時間帯と量に注意しましょう。
もしカフェインを摂取するのであれば、夜勤開始の数時間前までにとどめ、夜勤中も必要最小限に抑えることが賢明です。
特に、夜勤明けに睡眠を取りたい場合は、勤務終了の4~6時間前からはカフェイン摂取を控えることをお勧めします。
②脂っこい食事の影響
次に、脂っこい食事についてです。揚げ物や肉料理など、脂質の多い食事は消化に時間がかかり、胃腸に負担をかけます。
夜勤前にこのような食事を摂ると、消化のために血液が胃腸に集中し、脳への血流が相対的に少なくなることで、眠気や倦怠感を引き起こす可能性があります。
また、消化不良による胃もたれや胸焼けは、夜勤中の不快感につながり、集中力を低下させる原因にもなります。
さらに、脂質の多い食事は睡眠の質にも影響を与えます。消化活動が活発な状態では、体は休息モードに入りにくく、深い眠りにつきにくくなります。
結果として、夜勤明けに十分な休息が取れないという悪循環に陥ることも考えられます。
これらの理由から、夜勤前は消化の良い軽めの食事を心がけることが大切です。
例えば、炭水化物を中心としたおにぎりやうどん、脂肪分の少ない鶏むね肉や魚、野菜などを取り入れると良いでしょう。温かいスープなども体を温め、リラックス効果も期待できます。
これらの習慣は、不眠症予防だけでなく、夜勤中のパフォーマンス向上にも繋がります。
3. 短時間(1時間半~3時間)の仮眠で覚醒状態を維持する


夜勤前に最適な体調を整えるために、短時間の仮眠は非常に有効な戦略です。
夜勤が始まる前に、仮眠を適切に取り入れることで、夜勤中の覚醒状態を維持し、不眠症の予防に繋がると考えられています。
①仮眠の重要性
夜勤は、本来活動している時間帯に働き、休むべき時間帯に活動するため、体に大きな負担がかかります。
特に、夜勤の後半に差し掛かると、眠気や疲労感がピークに達し、集中力や判断力が低下しやすくなります。
このような状況を避けるために、夜勤前に質の良い仮眠を取ることが推奨されます。
仮眠は、脳の疲労を軽減し、認知機能やパフォーマンスを一時的に回復させる効果があります。これにより、夜勤中のミスを減らし、安全性を高めることにも貢献します。
②理想的な仮眠の時間とサイクル
仮眠の時間は、1時間半から3時間が理想的とされています。
この時間設定には、睡眠のサイクルが大きく関係しています。人間の睡眠は、約90分周期で「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返しています。
- 1時間半の仮眠: 90分はちょうど睡眠の1サイクルに相当します。この時間で仮眠を取ることで、比較的深いノンレム睡眠から目覚めることができ、目覚めがすっきりとし、眠気が残りにくいと言われています。これは、いわゆる「パワーナップ」と呼ばれる短時間の仮眠よりも長く、本格的な夜勤に備えるために必要なリフレッシュ効果が期待できます。
- 3時間の仮眠: 3時間は睡眠の2サイクル分に当たります。より長時間の仮眠を取ることで、より深い疲労回復効果が得られ、長時間の夜勤に備えることができます。ただし、3時間以上の仮眠は、かえって寝すぎてしまい、目覚めが悪くなったり、夜間の本格的な睡眠に影響が出たりする可能性もあるため、注意が必要です。
仮眠のタイミングは、夜勤開始の数時間前が理想的です。例えば、22時からの夜勤であれば、18時~19時半、または17時~20時の間で仮眠を取るように計画すると良いでしょう。
③仮眠の際の注意点
効果的な仮眠を取るためには、いくつか注意すべき点があります。
- 静かで暗い環境: 仮眠を取る際は、できるだけ静かで暗い場所を確保しましょう。アイマスクや耳栓を使用するのも効果的です。
- リラックスできる服装: 締め付けの少ないゆったりとした服装で仮眠を取りましょう。
- 目覚まし時計の活用: 寝過ごさないよう、必ず目覚まし時計をセットしましょう。
- 無理のない範囲で: 仮眠が難しい場合は、無理に取る必要はありません。自身の体調や状況に合わせて判断しましょう。
これらの習慣を実践することで、夜勤中のパフォーマンスを維持し、夜勤明けの不眠症のリスクを軽減することが期待できます。自身のライフスタイルに合わせて、無理なく取り入れられる方法を見つけてみてください。
おわりに
夜勤による不眠症は避けられないものと諦めがちですが、ご紹介した夜勤前の習慣を意識的に取り入れることで、そのリスクを大きく減らすことができます。
夜勤前日の十分な睡眠、カフェインや脂っこい食事の制限、そして効果的な短時間仮眠は、あなたの体と心の健康を守るための大切なステップです。






