夜勤明け、ようやく仕事から解放されたはずなのに、なぜか頭の中は休まることを知らず、ネガティブな思考がぐるぐると渦巻いている――そんな経験はありませんか?
それはまさにモンキーマインドの仕業かもしれません。
疲労と覚醒の狭間で揺れる心は、普段よりも不安や心配事を増幅させがちです。
本記事では、そんなやっかいなモンキーマインドと上手に付き合い、夜勤明けを心穏やかに過ごすための具体的な考え方をご紹介します。
1. 思考を無理に止めようとしない


夜勤明けの頭を駆け巡る思考は、まるで檻から解き放たれたサルが騒ぎ立てるように、次から次へととめどなく湧いてきますよね。
「ああすればよかった」「もしこうなったらどうしよう」といった後悔や不安のループに囚われると、心身の休養どころか、さらなる疲弊を招いてしまいます
。しかし、このモンキーマインドを無理に止めようとすることは、実は逆効果になることが多いのです。
人間の脳は、思考を抑えようとすればするほど、かえってその思考に意識が向きやすくなるという性質を持っています。
これは「シロクマ効果」とも呼ばれ、ある特定のことを考えないように意識することで、無意識のうちにその思考をより強く意識してしまう現象です。
夜勤明けで疲れている脳に、「考えるな」と命令することは、さらなる負荷をかけることになり、結果としてモンキーマインドをさらに活発にしてしまう可能性があります。
①なぜ思考を止められないのか?
夜勤明けに思考が止まらないのは、私たちの生活習慣と深く関わっています。
まず、夜勤という特殊な勤務形態は、生体リズムを大きく乱します。本来活動する時間帯に働き、休むべき時間帯に活動することで、自律神経のバランスが崩れやすくなります。
交感神経が優位になりやすい状態が続くため、脳が常に興奮状態にあり、思考が活発になる傾向があります。
さらに、疲労が蓄積しているにも関わらず、すぐに眠りにつけないといった身体的な不調も思考の暴走を助長します。
例えば、身体は休んでいても、脳が「まだ何かすべきことがあるのではないか」と勘違いし、勝手に活動を続けてしまうのです。
これは、私たちの脳が危険を察知するために常に情報収集を行うという、原始的な生存メカニズムの名残とも言えます。
夜勤明けという非日常的な状況下では、脳が「いつもと違う」と感じ、より警戒レベルを上げてしまうため、些細なことでも不安や心配事として捉えやすくなるのです。
②思考と距離を置く「マインドフルネス」の考え方
そこで有効なのが、思考を無理に止めようとするのではなく、思考と距離を置くという考え方です。
これは「マインドフルネス」の基本的なアプローチの一つです。
マインドフルネスとは、今この瞬間に意識を集中し、自分の思考や感情、身体感覚を、良い悪いといった判断を加えずにただ観察することです。
夜勤明けモンキーマインドが暴れだしたら、「また余計なことを考えているな」と自分を責めるのではなく、「ああ、今、自分はこういうことを考えているんだな」と、まるで映画を観るように客観的に眺めてみましょう。
具体的な方法としては、まず、静かな場所で座るか横になります。
そして、ゆっくりと呼吸に意識を向けます。息を吸うときの空気の感覚、吐くときの感覚に注意を集中します。
もし、頭の中に思考が浮かんできたら、それを無理に追い払うのではなく、「思考が浮かんできたな」と認識し、再び呼吸へと意識を戻します。
大切なのは、思考に良い悪いという判断を下さないこと、そして、思考に囚われても、何度も優しく意識を呼吸に戻すことです。これを繰り返すことで、徐々に思考に飲み込まれずに、一歩引いたところから自分の状態を観察できるようになります。
最初は難しいかもしれませんが、繰り返し練習することで、夜勤明けの思考の嵐に巻き込まれにくくなるでしょう。
2. 完璧主義を手放すヒント


夜勤明けのネガティブな思考には、「もっとこうすべきだった」「なぜあれができなかったのだろう」といった完璧主義からくる自己批判が根底にあることが少なくありません。
日中の生活でも完璧を求める傾向がある人は、疲労困憊の夜勤明けにはその傾向が顕著に出やすく、些細なミスや不手際が頭の中で大きく膨らみ、自分を責め立てる材料となってしまいます。
しかし、人間である以上、常に完璧であることは不可能です。特に夜勤明けは心身ともに疲弊している状態であり、普段と同じパフォーマンスを求めること自体が無理な話なのです。
この完璧主義を手放すことは、モンキーマインドを鎮める上で非常に重要なヒントとなります。
①なぜ完璧主義に陥るのか?
私たちが完璧主義に陥る背景には、様々な要因があります。
まず、社会全体が成果や効率性を重んじる傾向があるため、「常に最高の自分でありたい」というプレッシャーを感じやすいことがあります。
特に医療や介護など、人の命に関わる夜勤業務では、責任感が強く、常に最善を尽くしたいという思いから、完璧を目指してしまうのは自然なことです。
しかし、その思いが過度になると、自分自身を追い詰めることにつながります。
また、生活習慣の中で、幼い頃からの教育や経験によって「常に100点を目指すべきだ」という価値観が刷り込まれている場合もあります。
失敗を恐れるあまり、少しのミスも許せないと考えてしまい、それが夜勤明けの疲れた脳に重くのしかかるのです。
さらに、自己肯定感の低さも完璧主義を助長する要因の一つです。
「完璧でなければ自分には価値がない」と思い込んでいると、常に自分を完璧な状態に保とうとし、少しでも理想から外れると強い自己嫌悪に陥ってしまいます。
夜勤明けの朦朧とした意識の中で、このようなネガティブな感情が増幅され、モンキーマインドをさらに加速させてしまうのです。
②「ほどほど」を受け入れる心の持ち方
完璧主義を手放すためには、「ほどほど」を受け入れる心の持ち方が非常に大切です。
これは決して手を抜くということではありません。
むしろ、自分自身の限界を理解し、その上で最善を尽くすという賢明な選択です。
夜勤明けの自分は、普段の自分とは違うのだと認識しましょう。
例えば、普段は完璧にこなせるタスクでも、夜勤明けには少し質の落ちる結果になるかもしれないと、あらかじめ許容しておくのです。
具体的には、目標設定の見直しが有効です。
夜勤明けは、休息を最優先とし、それ以外の活動については「できればやる」程度のゆるい目標に設定し直しましょう。
例えば、「今日は洗濯物を畳めたらラッキー」「軽くストレッチができれば十分」といった具合です。
また、自己肯定感を高める練習も有効です。
完璧な自分だけでなく、不完全な自分も受け入れる練習をすることで、「完璧でなくても自分には価値がある」という感覚を育むことができます。
小さな成功体験を積み重ね、自分を褒める習慣をつけましょう。
例えば、夜勤明けにたった数分でも横になれたら、「よく休めた!」と自分をねぎらうのです。
③小さな達成感を積み重ねる
完璧主義を手放すもう一つのヒントは、小さな達成感を積み重ねることです。
完璧な成果を目指すのではなく、些細なことでも「できた」という感覚を意識的に味わいましょう。
夜勤明けで疲れているからこそ、ハードルを下げ、すぐに達成できる目標を設定することが重要です。
例えば、「シャワーを浴びる」「歯を磨く」「水を一杯飲む」など、普段当たり前にやっていることでも、夜勤明けの疲れた状態で行えたら、それを「達成できた」と認識し、自分を褒めてあげましょう。
この「小さな達成感」は、脳の報酬系を刺激し、自己肯定感を高める効果があります。
自己肯定感が高まることで、「自分はできる」「これで十分だ」という感覚が育まれ、過度な完璧主義からくる自己批判を和らげることができます。
夜勤明けに「あれもこれもやらなければ」と焦る気持ちが湧いてきたら、まずは「今、自分にできる一番小さなことは何だろう?」と考えてみてください。
そして、それを一つ達成したら、心の中で「よし、できた!」とつぶやいてみましょう。
この習慣を繰り返すことで、夜勤明けの重苦しいモンキーマインドに支配されることなく、穏やかな気持ちで過ごせるようになるはずです。
おわりに
夜勤明けのモンキーマインドは、決してあなたの心が弱いわけではありません。
疲労と覚醒の狭間にある心身が引き起こす自然な反応です。
思考を無理に止めようとせず、完璧主義を手放すことで、このやっかいなサルを手なずけ、より穏やかな夜勤明けを過ごせるようになります。
今日から少しずつでも、これらの考え方を取り入れて、モンキーマインドと上手に付き合い、充実した生活習慣を築いていきましょう。





